


白湯にも”湯加減”
人はやむなく病(やまい)になることがあるのですが、食後に飲む薬を持参され、お食事をされるお客様もいらっしゃいます。
フロアー担当のベテランのパートさんから聞いた話です。
フロアーを回っていると、お食事が済んだお客様のテーブルに病院のお薬の袋がのせられてあったり、あるいは薬のパッケージが置かれていたりすることがあります。
そのことに気づいたら、彼女は食後を見計らって、お薬の飲み水をお持ちするようにしています。
昔から、お薬と言えば、白湯(さゆ/広辞苑には「何もまぜない湯」とありました)で飲むこと、と言われておりますが、これが季節によっては、暑い季節には、ぬる目の白湯より、夏の水道水くらいの水温が喜ばれることもある、とのことです。
でも、絶対に冷たすぎないことです。
そうは言っても、たまたまエアコンがきき過ぎていたりすると、やはり少し温か目の白湯のほうが喜ばれたりします。
白湯の基本の飲み頃はあくまでも、燗酒(かんざけ)でいえば、人肌(ひとはだ)、ぬる燗の温度です。特に、顆粒状の薬は、ぬるま湯で飲むように、と薬剤師から言われた経験がおありかと思います。
要はお客様の立場になって、五感を働かせ、年齢、体調、室温、お料理は何を召し上がっていらっしゃったかなど、自分なりに得た情報を瞬時に集約し、水温はこれくらいが良いと判断してお持ちして、気持ち良くお薬を飲んでいただけたら、彼女は「ああ生きてきて良かった」と、おおげさではなく、心の中がうきうきするくらいだと言います。
"人の役に立つことをしている"と思える瞬間ほど、人は何にも代えがたい喜びがあるのだということを、彼女の話から伝わってきました。
白湯にも湯加減あり、です。