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2008年08月 の記事
2008年08月12日

トナカイ戦法

 北京オリンピックが始まっていますが、この時期に体調と心的レベルをベストに持ってこれた選手が良い結果を出しているように感じます。


 この北京オリンピックに合わせるように出前を始めた店舗(東川口店=川口市戸塚/日野店=日野市)があります。この出前は2店舗(川口朝日町店=川口市朝日/鳩ヶ谷店=鳩ヶ谷市)の店長が考えに考え、準備をし6月5日から先行しておりました。


 出前を最初に始めたこの二人の店長の行動力も並外れたものです。それにつづけとばかりに出前を始める店舗が、港を離れる漁船のように1隻、また1隻という感じで静かに増えようとしています。


 このうちの東川口店のM店長は、いろいろなことにチャレンジして結果を出す店長で、関東の店長からは一目置かれています。


 今から1カ月前の7月7日の七夕の日に向けて、お店に勤務するパートさんにお願いし、七夕お飾り用の笹竹を自宅から持ってきていただいて、店舗入口に飾り付けをおこないました。


 7月1日~7日までご来店いただいた小さなお子様連れのお客様に、お店で用意した短冊をお渡しし、願い事を書いていただきました。むろん、お子様には喜んでいただきましたが、お子様が喜ぶことにより親御さんにも喜んでいただけました。


 短冊の中には、おさない字で「おいしかった。またきます」というのもあり、うれしくて、ほろりとする短冊もあったようです。


 昨年のクリスマスイヴのことですが、このM店長の取った作戦は、大まじめなだけに絶対に笑ってはいけないのですが、思い浮かべるだけでも、とてもユーモラスなのです。


 昨年12月24日のクリスマスイヴの日は振り返り休日でした。クリスマスイヴというと、洋食系レストランが圧倒的に強く、そこでM店長は一計を案じました。


 東川口店は本屋さんとケンタッキーさんと合同の駐車場です。そこで、M店長が思いついたのが、2月3日に販売した恵方巻を応用した「クリスマスパーティー巻」の店外販売でした。開始を前に数名の先輩店長に相談したところ、「本当にやるの?」と驚かれたというのですから、なかなかのアイデアだったのでしょう。


 その日、社員にはサンタの帽子をかぶってもらい、M店長はトナカイの帽子をかぶり、午前11時から販売を開始しました。午後4時までで店内では10本以上の販売がありましたが、店の外ではまったく売れませんでした。 M店長は自分がサンタの格好をするべきだったのではないか、腰を引いた俺の弱気が失敗だったか、とあきらめかけた午後4時以降のことです。 ケンタッキーさんのフライドチキンの袋を持った方の列から少しずつ、とんでん側に流れ始め、店の外で22本の販売があり、6時までで結果、事前予約も含め「クリスマスパーティー巻」を計100本販売できました。


 M店長、今年のクリスマスイヴでは自信を持ってこの「クリスマスパーティー巻」を3倍は売ってみせると、今から新たな作戦を練っているようです。


 まさに、自分の望むことをすぐに実行してしまうM店長のトナカイ戦法、まだまだ何が出てくるかわかりません。


 今年のお盆の暑い週も終えた平日のランチタイム。出前専用電話が鳴りました。お名前とご住所をおうかがいしましたが、住宅地図に載っていなく、あせる気持ちもあって番地周辺を汗だくで探しました。


 目的のお客様宅を見つけて呼び鈴を押すと、出て来られたお客様が「やあ、よく来てくれた。足が悪いので助かるよ。出前、これからもお願いしたい。思ったより届くのが早かった」と喜んでくださった。


 M店長は恐縮した。とてもとても恐縮した。心が洗われる思いがした。お客様からの感謝の言葉に。M店長は心から「ありがとうございました」と頭を下げた。


 表に出ると、トナカイ戦法のM店長は何か頭上に光るものを感じ、見上げると天空から声が聞こえてくるようであった…。


 …トナカイはきっと気づくだろう。出前はきわめてヒューマンなビジネスであり、サンタを乗せて夢をお届けするトナカイの最高のミッションであることを…


 その「天の声」をM店長は少し震えて聞きながら正気に戻るように、店に戻らなければ、と思った。出前はすごい仕事なのだということも思いながら。


 北京オリンピックも終盤ですが、出前注文で暑い夏に汗だくになって熱い戦いをやって、曰く「狙うは金メダル」と笑いをたやしません。


 そして、ぴたっとほほ笑みが消えると、M店長はこう話すのでした。


「今は本当に経済の厳しい時ですが、あきらめることなく常に前を見て我々店長が店舗を引っ張っていかなければ、店舗も従業員も守ることはできません」

2008年08月19日

「出前」開始秘話

 前話の「トナカイ戦法」でふれていた出前のことですが、和食レストランとんでんで、「出前」開始という社史に名を残すほどのことを始めたのは川口朝日町店のK店長と鳩ヶ谷店のS店長です。


 川口朝日町店のK店長が6月の関東地区店長会議で発表した「出前」開始秘話を再構成して紹介します。


 このK店長が常に呪文のように唱えている言葉があります。その言葉は部下にも夢を持って語っているのですが、むろん、自分にも何度も何度も言い聞かせるようにして唱える言葉で、それは「とんでんはお客様を満足させる世界一のレストランなんだ」という言葉です。仕事に誇りが持てるのは心的レベルでも高い仕事をしているんだと彼は言う。


 そのK店長が出前を始めようと思ったのは今年の4月初めのこと。地区を担当するT地区マネジャーから、T地区マネジャーが去年の2月まで光が丘店の店長だった頃、出前をやってみたかったという話を聞かされたことから始まる。出前はT地区マネジャーがやってみたかった夢の仕事の一つでもあったのだ。


 K店長は、実行するなら一緒にやろうと、2キロくらいしか離れていない近隣の鳩ヶ谷店のS店長と話し合っていくうちにどんどん現実味を帯びて、ひょっとしたらひょっとするのではないかと、夢をふくらませながら行動に移し始めたと言う。


 最初は宅配と言っていたのですが、宅配は物を運ぶということで、やはり我々はレストランなので、辞書で調べたら「出前」が適切な表現であると理解したとのこと。


 そして、とんでんの味をご家庭でも気軽に楽しんでいただける出前サービスをやっていこうというコンセプトでスタートさせることを決意したのです。「出前」は高齢化の進む現代において、このニーズは決して少ないものではないという判断もありました。


 出前開始を前にS店長と二人で、出前に関するいろいろなチラシを見たり、地域の人口を調べたり、いろいろと研究を重ねました。


 当初は自転車、まずは歩いて届けられる範囲からと考えましたが、安全性と経費面から三輪バイクでやってみたいということを社長に相談したところ、熱意が伝わって「やってみなさい」と決裁も得られ、三輪バイクの購入もできました。


 実際に開始するまでには、商品部の力を借りてのメニューづくり、鮨桶の購入、システムづくりに関しても営業部に協力をしてもらい、関係部署のさまざまな支援があって出前のスタートにこぎつけることができました。 実際に始まるんだな、とS店長と二人でバイクを買いに行った時は中古で21万円だったのですが、出前が失敗した時には二人で買い取ろうという気持ちで買いに行ったと言う。二人はそこまで腹をくくった。


 そうやって始まった出前ですが、まずは出前を始めることを地域のお客様に知ってもらわなければなりません。


 出来上がったリーフレットのローラー(ポスティング)を始めました。これがとても重くて200部も持てれば精一杯でした。住宅地図を買い、一軒一軒チェックしながら配りました。


 ローラーは社員と手分けして朝9時からおこなったり、アイドルタイムにおこなったり、正直、ローラーは大変でした。そのローラーで、お店を利用してくださっているお客様に会うこともありました。


 ある日、社員と一緒にローラーに行っている時のこと。社員が常連のお客様と出会って一生懸命「出前を始めます」と楽しそうに話をしていました。お客様からも、「あらそうなの。じゃあ今度頼むわね。期待しているわ」と言っていただけて社員も本当にうれしそうだった。


 社員に「こうやってローラーするのも、お客様のお名前が覚えられて、お客様のご自宅もわかって良いもんだろう」と言うと、「はい」とにこにこ顔になっている。このローラーでお客様とのつながりがさらに深いものになった、とK店長は言う。


 そうやって苦労してリーフレットを配って歩いて、出前注文の1件目が入った時の最初の喜びというのは、「今まで味わったことのない喜びでした。あの1件目は本当にうれしかった。次の日も次の日も自分で歩いて、ポストに入れて、その日に反響がある、その日に電話がかかってくるというのはなんとも言えない快感でした」とも言う。


 ある日のこと、午後8時までの受付なのだが、8時を過ぎて出前の電話が鳴った。おばあちゃんの声だったが、「2000円以上のご注文での配達でお受けしています」と何度言っても「うな重一つお願いします」と言われつづけた。しかし、ようやく理解していただいたようで、「では、かれいの唐揚げも一つ」と注文いただいて出前に行った。


 出前で訪ねたら、とても感じの良いお客様で、雨も降っていたので「雨の中、すみませんね」ととても恐縮されてしまい、2000円でなくても届けてあげれば良かったかな、とK店長は心が揺れたと言う。高齢者に、雨の中、お食事をお届けをする、出前という仕事の意味が深まっていくようだったとK店長。


 また、出前に行って、呼び鈴を押してもなかなか出てこないお客様がいらっしゃっいました。呼び鈴を3回くらい押してしまったことがあったのですが、玄関に出て来られる姿を見たら松葉杖をついておられて、申し訳ないことをしたと恐縮をしたこともありました。そのお客様からも「またお願いしますね」と言われ、深く感激したK店長。人様にお役に立つ仕事というのは本当に良いものだと心の底から思えるようになったとも言う。 出前が始まってみてわかったことですが、ご注文のお客様の中にはこのように足の不自由なお客様がいらっしゃいます。


 ご注文の電話の中で「そちらのお店、階段があるから行きたくても行けなくて」と話されることもあり、そうすると胸にじんとくるものがあって「申し訳ございません。すぐにお届け致します」と答えたこともあった。 まだまだ進む高齢社会と福祉社会…。この出前サービスという仕事の需要はまだまだあるのではないか、これほどヒューマンなビジネスもないな、と思うようになったK店長。


 今日も、出前専用の電話のベルが鳴るのを楽しみにしています。

2008年08月21日
2008年08月28日
とんでん