「がんばれ~」「がんばれ~」と声援の声が大きな球場でこだました。

 関東地区で、初めての地区対抗ソフトボール大会が催された。秋の終わりと冬の始まりが混在するような日であったが、さわやかな秋晴れであった。好天に恵まれ、奥さんと小さな赤ちゃんや子供を連れて来た店長が、7人もいた。どのチームもピクニック気分で集まってきて、ほっとするような温かさがあった。  企画をしていた営業部も、こんなふうに大きな大会になるとは思わず、地区別で8チームができること自体が、不思議に思えるほど、うれしい誤算であった。

 どのチームも即席チームであったが、会社の野球部員を主軸に若いアルバイトさんを戦力にしているチームが多かった。あくまでも勝ちにきているチーム編成であった。

 だが、競技ルールで、ピッチャーは速球を投げてはいけなく、山なり投法で、このルールに抵触する速球ピッチャーには、すぐにブーブーコールが浴びせられ、審判もただちにその抗議に同調した。

 走者もケガをしないように、滑り込み禁止、盗塁なし、振り逃げ・パスボールなしという、何ともロハス(スローライフ)な競技ルール。これがいい。

”若年寄り”も女性も、打つ、走る、守る、オーケーです。

 試合は点を取ったり、取られたり、どの試合もシーソーゲームで、思った以上に盛り上がった。久々の運動で思うように足がついていかず、エラーをして盛んに首をひねっているマネジャーの姿があった。

 しかし、エラーや三振をしても、誰もなじる者はいなく、「ドンマイ」「ドンマイ」とフォローする声が多かった。みんな、ふだんの企業戦士の鎧兜(よろいかぶと)を脱いでやさしかった。

 どのチームも次長、地区マネジャーが監督だった。実は一番、燃えていたのは、この監督たちだった。試合でジャッジに猛抗議をするのもこの監督たちで、審判に何度「退場!」と言われたかわからない監督もいた。

 ルールによって、試合は5回戦もしくは40分で終了。同点の場合は、選手10人でジャンケン勝負となる。

 たまたま、準決勝で同点のチームがあった。10人の選手が向き合って、前から順にジャンケンをしていった。「ジャンケンポン」「アイコデショ」の声が飛び交う。

 ジャンケン勝負の1回ごとに、はらはら、どきどきで、その結果に嘆きの声や喜びの声が上がった。勝負は10人目までもつれ、なんと”アイコ”。 最後は監督によるジャンケン3本勝負で決着がつけられることになった。 勝てば、決勝進出だから、その行方はまさに監督の手の中にあった。

 この両監督が好対照で、片やふだんから気合むき出しの監督であった。1回目、気合むき出し監督のまさに気合勝ち。勢いで2回目で決着がつくかと誰もが思ったが、気合が空回りしたのか、グーを出して負けた。泣いても笑ってもこれが最後の3回目。気合むき出し監督、また、グーを出した。勝った!

 すかさず気合むき出し監督が言った。「気合だよ。き・あ・い!」と。敵も味方も大笑いの中、勝負は決着した。

 そして、決勝。明らかに実力で劣勢だった気合むき出し監督チームが、6対2で堂々の優勝。

 表彰式の優勝の弁で気合むき出し監督が「気合だよ。き・あ・い!」と語ったのは言うまでもない。

 そのソフトボール大会は今年、アジサイが最もきれいな6月におこなわれる計画で進められている。今年は、奥さんと赤ちゃんを連れた店長がどれだけ増えるだろうか。

 なお、噂によると今からジャンケンを練習している地区マネジャーがいるとのこと。勝負は時の運…。今年も気合むき出し監督の姿が見られるでしょうか。