年々、天気予報の当たる確率が高くなってきたと言われています。最近は時間帯の天気予報まであって、とても便利な感じがしますが、ちょっとお出掛けするのに、この時間帯は雨、とあるので傘を持って行ったけれど雨が降らないことがあり、これはまあいいとして、晴れとあるので信じて出掛けたら雨に降られて身動きならなかった、ということもあります。

 でも、自然現象ですから、こればかりは予測をしても、流れる雲の勝手でしょ、とあきらめるしかありません。

 用心のために出掛ける時は年中、傘を持っていく人を知っていますが、それにしても土砂降りの時は、せっかくの傘も役立たず、ということもあります。

 真夏のランチのピークも終わった午後2時過ぎに、3~4歳の女のお子様を連れたお母さんとふたりきりで食事に来られたお客様がいらっしゃいました。たまたま自分にも同じ年頃のお子さんを持つパートさんが、サービスを担当しました。親子でゆっくりとお子さんと食事をされ、お話しも楽しそうにたくさんされていました。

 それはもう、ほほえましいかぎりで、サービスする方もうれしくなるほどで、お子さんにはお茶ではなくお冷やを何度か出して差し上げ、お母さんにおしぼりも余分に1本多くつけて差し上げました。

 1時間ほどして、お帰りになろうとお会計をすまされ、お店の玄関を出たところでザアーッと雨が降ってきて、親子ふたりで立ち尽くしていました。

 それを見ていたパートさんが、ハッとひらめいて、玄関に立つ親子に話しかけました。

「どうぞ、中でお待ちください」そして「雨が小止みになったら、どうぞお使いください。私の使い古しですし、返していただかなくてもけっこうですので」と、傘を両手に持ってお客様に差し出しました。

 お母さんは申し訳無さそうな顔をしていましたが、お嬢ちゃんはにっこりほほえみ、「ママ、良かったね」という顔でお母さんの顔を見上げていました。