うるう年の2月29日、関東では早朝から雪が降っていました。 以下は、埼玉の和食レストランとんでんに勤務する男性チーフのお話です。 私はその日、ふだんより早く出勤し、雪のなか、ご来店されるお客様を迎えるため、駐車場、店舗前の歩道の雪かきをおこなっていました。 お昼前頃、一生懸命、重い雪を押していると、お店の前に携帯電話を片手に、女子高生(たぶん1年生?)と思われる子がとても寒そうにしていました。 私も非常に寒かったのですが、雪の中、傘は差していましたけれど、彼女の通学シューズは濡れて冷たそうでした。 「どうしたの?」と話し掛けてみると、「雪で帰れなくて祖父の迎えを待っているんです」と彼女は丁寧な言葉で答えました。 私は「それじゃあ、外では寒いから、お店のなかで待つといいよ」と話し、店内に案内し、ウエーティングルームに座っていただきました。フロアのパートさんに、お茶を差し上げるようにお願いしました。「おじいちゃんが来たら知らせるから」と彼女を落ち着かせ、雪かきに戻りました。 間もなくして、彼女のおじいちゃんと思われる方の車が駐車場に入ってきて、車から降りたところで、「こんにちは。お嬢さんのお迎えでしょうか」とお声を掛けると、うなずきましたので「今呼んできますね」と、すぐに彼女を呼びました。彼女は恥ずかしそうに私に頭を下げ、無事におじいちゃんと、帰って行きました。 その日の夜、天候も徐々に回復し、お客様のご来店を期待しながら営業をおこなっていると、突然、ご家族連れのお客様より、「お昼はありがとうございました」と声を掛けられました。 驚いたことに、お昼に雪のなかで声を掛けた、あの子が家族を連れ、来店してくださったのです。恥ずかしそうでしたが、彼女からも「ありがとうございました」とお礼の言葉があって、内心、とてもうれしく感じました。 ご家族は三世代で楽しそうにお食事され、お帰りの際に、また挨拶を交わし、お帰りになりました。 私の中で、何かが変わっていく、奇跡のような雪の日の体験でした。