お店のフロアーは「舞台」という考え方もあります。サービス業界ではかなり以前から言われている考え方のひとつです。  フロアー担当者はその意味で、アクター(俳優、役者)という考え方です。ご来店のお客様に喜んでいただくために、いかに自分を演じ切るか、そのようなことも言われています。  しかし、それはお客様から「演技なの?」と思われてもいけないのです。そこが難しい。心からのおもてなしを基軸にしている私共とんでんです。演技ではなく、身にしみるほど、体の中におもてなしの心が溶け込んでいなければなりません。  営業部のG部長は店舗巡回をして帰ってくると、その日、気が付いたものをまとめ、1店舗の問題としてではなく、全店の問題としてメールで投げかけます。 “企業秘密”の部類に入りますが、ある日のG部長の全店メールを紹介しましょう。テレビのドキュメンタリー番組にあるような舞台裏の苦労話の一つとして。 45度のお辞儀はできる時だけやれば良いと思っていませんか? 徹底的にこだわってやろうと本当に思っていますか? 90度までこだわってお辞儀に徹底した店舗が過去にありました。 そこまでしなくても、しっかり45度のお辞儀に徹底的にこだわった時期がありました。  そのお辞儀に同業他社さんも感心し、お客様が声を上げて感動するほど徹底的にお辞儀にこだわったあの頃。お客様に感心していただいて、おほめをいただいて、そのことに喜びを感じて、本当に大変だったけれども、そのことに手を抜く従業員はどこにも一人もいなかった当時を思い返してほしい。あんなに真剣になれたのは、お客様におほめをいただいて、誰より、自分がうれしかったからではないですか?  その45度のお辞儀がとんでんからなくなって良いわけがないのです。  お客様のお出迎え、お見送りの45度のお辞儀に100点満点の評価をできる従業員は今、何人いますか?  それ以前に、店長がいつもフロアーに出て良い見本になれていますか?  背筋がきれいで、切れのある45度のお辞儀。見せる(魅せる)お辞儀を自分自身の心の武器として、そのためだけに、ウォーターステーション(お客様のためにお茶・おひや・コーヒー・生ビール、おしぼりなどを用意する場所)から出て、お客様が自分の前を通過する3秒前に、すぱっと切れのある、価値のあるお辞儀を今、演じて魅せられますか?

 フロアースタッフに「きれいなお辞儀だね」とほめてほめて、ほめ殺さん程度に、とことんスタッフをほめることができる店長ですか? その気にさせる店長ですか? お客様に喜んでいただこうと、体のしんから思っていますか?

 笑顔とお辞儀はお金で買えません。その人の仕事に対するパッション、情熱とプロ意識に火をつけてやるのが店長の仕事です。  魅せるお辞儀でお客様に感動をあたえることで、自分の仕事に誇りを持てたあの日を思い出そう!  お客様が待っているのは予期しない感動です。それをやってみようじゃないか。自分が納得できるまで、お客様が感動してくださる瞬間を自分の心でつかみ取れたと実感できるまで。