北京オリンピックが始まっていますが、この時期に体調と心的レベルをベストに持ってこれた選手が良い結果を出しているように感じます。  この北京オリンピックに合わせるように出前を始めた店舗(東川口店=川口市戸塚/日野店=日野市)があります。この出前は2店舗(川口朝日町店=川口市朝日/鳩ヶ谷店=鳩ヶ谷市)の店長が考えに考え、準備をし6月5日から先行しておりました。  出前を最初に始めたこの二人の店長の行動力も並外れたものです。それにつづけとばかりに

 出前を始める店舗が、港を離れる漁船のように1隻、また1隻という感じで静かに増えようとしています。

 このうちの東川口店のM店長は、いろいろなことにチャレンジして結果を出す店長で、関東の店長からは一目置かれています。

 今から1カ月前の7月7日の七夕の日に向けて、お店に勤務するパートさんにお願いし、七夕お飾り用の笹竹を自宅から持ってきていただいて、店舗入口に飾り付けをおこないました。

 7月1日~7日までご来店いただいた小さなお子様連れのお客様に、お店で用意した短冊をお渡しし、願い事を書いていただきました。むろん、お子様には喜んでいただきましたが、お子様が喜ぶことにより親御さんにも喜んでいただけました。

 短冊の中には、おさない字で「おいしかった。またきます」というのもあり、うれしくて、ほろりとする短冊もあったようです。

 昨年のクリスマスイヴのことですが、このM店長の取った作戦は、大まじめなだけに絶対に笑ってはいけないのですが、思い浮かべるだけでも、とてもユーモラスなのです。

 昨年12月24日のクリスマスイヴの日は振り返り休日でした。クリスマスイヴというと、洋食系レストランが圧倒的に強く、そこでM店長は一計を案じました。

 東川口店は本屋さんとケンタッキーさんと合同の駐車場です。そこで、M店長が思いついたのが、2月3日に販売した恵方巻を応用した「クリスマスパーティー巻」の店外販売でした。開始を前に数名の先輩店長に相談したところ、「本当にやるの?」と驚かれたというのですから、なかなかのアイデアだったのでしょう。

 その日、社員にはサンタの帽子をかぶってもらい、M店長はトナカイの帽子をかぶり、午前11時から販売を開始しました。午後4時までで店内では10本以上の販売がありましたが、店の外ではまったく売れませんでした。 M店長は自分がサンタの格好をするべきだったのではないか、腰を引いた俺の弱気が失敗だったか、とあきらめかけた午後4時以降のことです。 ケンタッキーさんのフライドチキンの袋を持った方の列から少しずつ、とんでん側に流れ始め、店の外で22本の販売があり、6時までで結果、事前予約も含め「クリスマスパーティー巻」を計100本販売できました。

 M店長、今年のクリスマスイヴでは自信を持ってこの「クリスマスパーティー巻」を3倍は売ってみせると、今から新たな作戦を練っているようです。

 まさに、自分の望むことをすぐに実行してしまうM店長のトナカイ戦法、まだまだ何が出てくるかわかりません。

 今年のお盆の暑い週も終えた平日のランチタイム。出前専用電話が鳴りました。お名前とご住所をおうかがいしましたが、住宅地図に載っていなく、あせる気持ちもあって番地周辺を汗だくで探しました。

 目的のお客様宅を見つけて呼び鈴を押すと、出て来られたお客様が「やあ、よく来てくれた。足が悪いので助かるよ。出前、これからもお願いしたい。思ったより届くのが早かった」と喜んでくださった。

 M店長は恐縮した。とてもとても恐縮した。心が洗われる思いがした。お客様からの感謝の言葉に。M店長は心から「ありがとうございました」と頭を下げた。

 表に出ると、トナカイ戦法のM店長は何か頭上に光るものを感じ、見上げると天空から声が聞こえてくるようであった…。

 …トナカイはきっと気づくだろう。出前はきわめてヒューマンなビジネスであり、サンタを乗せて夢をお届けするトナカイの最高のミッションであることを…

 その「天の声」をM店長は少し震えて聞きながら正気に戻るように、店に戻らなければ、と思った。出前はすごい仕事なのだということも思いながら。

 北京オリンピックも終盤ですが、出前注文で暑い夏に汗だくになって熱い戦いをやって、曰く「狙うは金メダル」と笑いをたやしません。

 そして、ぴたっとほほ笑みが消えると、M店長はこう話すのでした。

「今は本当に経済の厳しい時ですが、あきらめることなく常に前を見て我々店長が店舗を引っ張っていかなければ、店舗も従業員も守ることはできません」